デンソーが実用化へ、レアアースが不要なスゴイ磁石の正体
デンソーは、鉄とニッケルのみで構成しレアアース(希土類)が不要な磁石を5―10年内に実用化する方針を示した。まずは小型モーターでの採用を目指し、将来は電動車用モーター向けの実用化を視野に入れる。また従来は難しかった100度C以上での水素イオンの移動を可能にし、冷却装置の小型化が見込める燃料電池も2030年代の早い段階で実用化を目指す考えだ。
同日開いた先端技術研究についてのオンライン説明会で明らかにした。開発しているのは「鉄ニッケル超格子磁石」で、鉄とニッケルの原子を規則正しく並べることで、一般的なネオジム磁石と同等かそれ以上の性能が出せる。触媒などの工夫で初めて人工合成に成功したという。
レアアースは資源国が限られており、日本メーカーは調達リスクを抱える。レアアース不要の磁石はこの課題解決につながる。現在は材料メーカーと共同で量産化に向けた技術開発を進めている。
燃料電池では、エネルギー生成などで重要な役割を果たす水素イオン伝導体に、金属イオンなどで構成される「配位高分子」を採用。従来は水素イオンの移動に必要だった水を不要にし、100度C以上での動作を実現した。
日刊工業新聞2021年11月19日