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【決算一覧】電機大手の回復基調に逆風、目算を狂わすリスクの数々

原材料価格高騰を含むサプライチェーン(供給網)リスクが電機大手の2022年3月期連結業績の回復基調に水を差す。20年末からの世界的な半導体不足に加えて、鋼板や銅などの値上がりも重電系中心に利益を圧迫する。新型コロナウイルス感染症からの復活を期したが、東南アジアや欧州での感染再拡大も各社の目算を狂わせる。

ソニーグループは21年10月―22年3月期にテレビやデジタルカメラ、スマートフォンなどの家電部門で350億―400億円程度のサプライチェーンリスクを見込む。デジカメなどの販売減により、通期の部門売上高予想を8月公表比で1・7%減の2兆2800億円に下方修正した。

日立製作所は全部門で顧客の生産調整や部材価格高騰のあおりを食うほか、原油高や海上輸送コンテナ不足による物流コスト上昇も響く。三菱電機は素材価格高騰の影響として、通期営業利益を7月公表比200億円悪化の530億円押し下げる見通しだ。半導体などの部材調達難も別途375億円の減益要因となる。

東芝は通期で素材・輸送費高騰により310億円、半導体不足により120億円の減益影響を受ける。ただ、その半導体不足の追い風の吹く半導体事業が車載中心に需要旺盛でリストラ効果も手伝って通期営業利益は前回予想を据え置いた。

富士通も好調な半導体市況に支えられたデバイスソリューション部門の通期営業利益予想を同200億円増の500億円に上方修正し、主力のテクノロジーソリューション部門の部材供給遅延リスクを相殺する。

日刊工業新聞2021年11月16日

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