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福島県いわき市の挑戦。被災自治体における「次世代再エネ産業」育成


2050年カーボンニュートラルの実現へ重要性が高まる、再生可能エネルギー。地場産業の強みを活かしながら、こうした次世代再エネ産業の育成に挑む自治体があります。

人材育成が急務

次世代再生可能エネルギーの1つとして注目される風力発電。風車の部品点数は数万点とも言われ、これらの製造やメンテナンスを行う市場が国内に生まれれば、自動車のように波及効果の大きい産業に育つ可能性も。しかし、新たな産業を担う人材は圧倒的に不足しており、その育成が求められています。

風車の部品点数は数万点とも言われる

被災自治体の挑戦

福島県いわき市は、カーボンニュートラルの動きをいち早く捉え、動き出している自治体の1つです。東日本大震災、そして原子力災害からの復興の中で、新たな基幹産業の創出を目指し、国内初の「風力発電メンテナンス人材認証制度」の構築・運用に向けた実証を開始。東京大学先端科学技術研究センターなどと連携して作る技術者の認証プログラムは、様々なメンテナンス作業を想定し、難易度に応じた技能や知識の認定を行うものです。

いわき市の風力産業創出戦略

福島イノベーション・コースト構想

その原動力の1つとなっているのが、福島イノベーション・コースト構想です。福島県浜通り地域において、災害により失われた産業や雇用を回復するため、国、県、市町村や企業などが連携して新しい産業の創出を目指しています。国も、エネルギーやロボット、ドローンなどの必要な技術開発、企業の誘致、進出企業と地元企業のマッチングなどを推進しており、いわき市の取組も、この構想の一環に位置付けられるものです。

電力関連産業の強みを次世代産業に

福島県浜通り地域は、震災前から、電力関連産業が集積してきた地。火力や原子力の発電施設で設備の設計や据付・メンテナンスを長年担ってきた地元企業の経験と知見は、風力という新たな領域でも活きるはず。浜通り地域だけでなく、国内の様々な企業が風力発電事業に参入し、ひいては日本の風力発電の健全な発展、カーボンニュートラルにも貢献すると期待される、いわき市の取組に注目です。

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