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トヨタ、章男社長がついに「新工場」へGO!

工場の風景を変えろ!建設への初期投資、08年時比約40%低減にめど
トヨタ、章男社長がついに「新工場」へGO!

14日、新型プリウスのラインオフ式であいさつする豊田社長(堤工場)


切実な問題


 トヨタの生産が1000万台を超えた一方で、国内の部品メーカー、とりわけ2次、3次下請けの小規模メーカーにとっての焦点は国内生産台数の動向。海外進出が難しい中小企業や、日本に開発拠点を置き雇用を抱える部品メーカーにとって、国内での事業規模をどれだけ確保できるかは切実な問題だ。

 「年間生産300万台をどこまで守れるのか」。ある部品メーカー幹部は不安を隠さない。トヨタが示した14年の国内生産台数(トヨタ・レクサス)は315万台。これが14年度でみると305万台とトヨタが方針として掲げる年間国内生産300万台ぎりぎりまで落ち込む。消費増税後の反動減にどこまで持ちこたえられるかが焦点だ。

 また国内生産の内容を細かく見ると、スポーツ多目的車(SUV)などの輸出用車種や、ミニバン「ヴォクシー/ノア」など新型車で高水準の生産が続く一方、ハイブリッド車(HV)や「レクサス」などの高級車で生産の落ち込みが目立つという。

 HVの生産減は車体課税の見直しでエコカー減税対象車の税制恩典が薄れることが背景にある模様。付加価値が高いクルマの国内生産が落ち込めば、トヨタの国内事業ひいては部品メーカーの収益基盤の悪化につながる懸念がある。

原動力は海外


 また、1000万台を超えてさらに成長を目指すとなれば、原動力は海外市場であり、とりわけ新興国市場が中心となってくる。部品メーカーでは「海外での生産準備にまわすリソーセス(人材など経営資源)が足りなくなる」(エンジン部品メーカー首脳)との懸念が出てきている。複数の工場で同時にモデル切り替えなどによる生産準備が必要になると人が足りず現地スタッフの育成が急務となる。

 しかし人材はすぐには育たない。「外部の活用も頭に入れないといけない」(同)。部品メーカーの経営資源には限界がある。生産委託や技術支援など、他社との連携を模索する動きが活発になりそうだ。
(文=清水信彦)
日刊工業新聞2015年12月11日自動車面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
トヨタは16年の世界生産台数も4年連続で1000万台を上回る見通しだ。今年、章男社長は新工場建設にゴーサインを出したが、09年の社長就任以降、兵たんの延びきった拡大戦略を戒めてきた。13年に初めて生産1000万台を超えたが、14年1月の日刊工業新聞で当時、トヨタ担当だった清水記者(現在、ニュースイッチファシリテーター)が1000万台時代の課題を記事にしているので、あわせて読んでください。新工場は新興国が中心となるが、販売が好調なのは北米など。市場や車種によって販売の好不調の差が広がっており、柔軟な生産・供給体制も課題になる。またトヨタは2050年に向けた環境宣言でガソリン車の比率を極めて小さくする目標を公表した。工場の変革はこれからもっと大きなものになっていく。

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