「着脱式電池」で事業領域拡大を狙うホンダの勝算

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ホンダは電動バイクに搭載するモバイルパワーパックの用途拡大を目指す

ホンダが、着脱式電池「モバイルパワーパック」を切り口とした事業領域拡大を図っている。現在は同社の法人向け電動バイクにのみ搭載しているが、電動除雪機への搭載や家庭用蓄電池としての利用など、多様な使い方ができると見込む。2022年には事業者向けの販売も始める。電動化や再生可能エネルギー活用の流れを商機ととらえ、攻勢をかける。(江上佑美子)

2輪と4輪の双方で存在感を高める電気自動車(EV)。しかし電池コストが高く車両価格が上がってしまう課題がある。「電池をいかに使い回すかが事業のカギとなる」と本田技術研究所の岩田和之エグゼクティブチーフエンジニアは指摘する。

こうした考え方が、ホンダがモバイルパワーパックを用いた新事業開拓を積極化する背景にある。

まず電動バイクなどのモビリティーに活用し、劣化で電池容量が減少した後は小型船外機や除雪機の動力源として二次利用する。2輪・4輪車以外にも幅広い製品ラインアップを持つ同社の強みを生かす。

家庭向けには蓄電池として提供する予定だ。着脱式である点を生かし、住宅の太陽光パネルで充電したモバイルパワーパックを電動バイクに搭載するといった使い方も見込んでいる。

ホンダは19年、「ホンダ eMaaS」のコンセプトを発表。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向け、電動モビリティーとエネルギーを結び付けて新サービス創出などを図る。モバイルパワーパックの活用も、eMaaSの取り組みの一環だ。

蓄電池と組み合わせることで再生エネ活用の幅は広がる。ホンダの中島芳浩シニアチーフエンジニアは「モバイルパワーパックを用いることで再生エネを小分けし、どこでも使えるレジリエントな社会を実現できる」と説明する。

10月に発売した電動バイクには、電池容量を従来比24・9%増やした第2世代の「モバイルパワーパックe:」を搭載した。「モバイルパワーパックに使っている円筒型セルは技術進化している。外形を変えずに性能を上げることができる」(中島シニアチーフエンジニア)。

内蔵のバッテリーマネジメントユニットがセルの状態を監視し使用履歴を記憶。データは充電時にクラウドで転送する。「二次利用などに向けトレーサビリティー(履歴管理)は重要。車両データとして保険料のランク付けに生かすこともできるのではないか」と岩田エグゼクティブチーフエンジニアは構想を描く。

22年には事業者へのモバイルパワーパックの供給を始める。コマツとは既にモバイルパワーパックを用いた小型電動ショベルを開発している。幅広い領域に展開し、新たな事業の柱に育てる考えだ。

日刊工業新聞2021年11月4日

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