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イオンリテールが買い物カゴ自動除菌装置を導入して実感した効果

イオンリテールが買い物カゴ自動除菌装置を導入して実感した効果

買い物カゴに紫外線を照射することで除菌する

コロナ禍で商業施設の売り場は様変わりし、感染対策があらゆるところに施されている。各社が徹底した対策を売り場で進める中、イオンリテールは買い物カゴ除菌装置「ジョキンザウルス」を展開。買い物カゴに紫外線を照射し、付着するウイルスを自動でほぼ100%除菌する。来店者に安心感を与えるだけでなく、コロナ禍で生じた新たな業務による作業負荷の軽減にも一役買っている。(編集委員・大友裕登)

「装置の導入によって、従業員の負担は心理的なものを含めて確実に減ったと感じている」。イオンリテールの近藤健司執行役員人事総務本部長は導入のメリットを強調する。

開発のスタートは新型コロナウイルスの脅威に初めてさらされた2020年春。当時、売り場ではある課題を抱えていた。新型コロナ感染拡大に伴い来店者が手で直接触れる買い物カゴを従業員が一つひとつ丁寧に拭き上げていた。この作業が負担になっていた。20年4月、自治体と感染対策などについて話し合う機会で直面する課題を相談し、ニューネクスト(京都市南区)を紹介された。

5月には同社と開発に着手。ここからロボット化への挑戦が始まった。イオンリテールが要望したのは、ウイルスが付着する可能性が高いと考えられる買い物カゴの取っ手の表裏、カゴの縁など直接手が触れる部分を1個ずつ除菌する機構。また、来店者の安心につながる一目で分かる装置である点。そして、「何よりも一番お願いしたのは限りなく高い除菌率」(近藤執行役員)だった。

4カ月で1号機ができあがり、イオンスタイル京都桂川(京都市南区)に設置。動作実験を踏まえ、11月には全国12店舗への先行導入を決定。除菌率99・9%超を実現し、多店舗展開していった。

店内に設置された買い物カゴ除菌装置「ジョキンザウルス」

大型店では1日当たり平均約1万個の買い物カゴが動いている。従来は、この全量を従業員による手作業で拭いていた。レジ担当以外からも応援を要請し作業に対応するほど、現場に負担がかかっていた。これが装置の導入で同約2000個を自動で除菌できるようになった。カバー率2割という数字に加え、新型コロナ感染への恐怖など心理面でのストレスの軽減にも寄与したと近藤執行役員はみている。

8月末時点で28店舗に導入。関東圏から中四国の広範なエリアで利用されている。引き続き導入を拡大していく方針で、22年2月末までに追加で29店舗に導入する計画だ。

1号機の設置から1年が経過するが、この間に機能を磨き上げている。地域やメーカーによって、カゴを重ねて載せる台車の高さに違いがあったため、専用の台車を制作し円滑に動作できるようにした。また、除菌の精度を高めるために紫外線を発光するライトを数倍にし照射時間を延ばすなど、改良を重ねている。

近藤執行役員は「ロボット化で一つ成果は出た。さらに研究を深めていく」と、さらなる磨き上げに意欲を示している。

日刊工業新聞2021年10月5日

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