東芝が「波長4マイクロメートルの面発光半導体レーザー」開発。狙う将来の需要

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開発した面発光QCL素子(中央500ナノメートルの四角が素子部=東芝提供)

東芝は発電所や工場などの二酸化炭素(CO2)排出量を高感度に測定できる波長4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の面発光型量子カスケードレーザー(QCL)を開発した。世界の主要国がカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)社会の実現へカジを切る中で、排出係数による計算だけでなく実際のCO2を把握するニーズが高まる可能性がある。配管のガス漏えい検知などの用途も想定し、3年以内の実用化を目指す。

東芝が開発した面発光型QCLは4マイクロメートルの中赤外の波長域で出力できる。波長4マイクロメートルの面発光型QCL開発は世界初という。出した光をCO2や一酸化炭素などのガス分子に吸収させ、その反射光の減衰量からガスの検知や濃度を計測できる。

高出力化につながる面発光を実現するため凹凸構造のフォトニック結晶を採用。発光層の下にフォトニック結晶層を形成し、原理的に横方向のみへ進む光を凹凸に反射させて上方へ放出する仕組み。現状の光出力は13ミリワットだが、さらに開発を進めて10ワットを目指す。

一般的な端面発光型QCLは素子の横から光を放射し、発光源が小さく放熱性に不利で、ビーム射出角も大きくなりやすいという。光を複数回反射させてガス検知感度を上げるため、高いビーム品質が求められる。開発品は1度以下の広がりに抑えた鋭いレーザービームを出せる。

現在、企業などが自社のCO2排出量を調べる際、エネルギーや燃料の使用量から係数を用いて計算している。将来、脱炭素化を追求する上で、拠点ごとのCO2排出量をより厳密に測定する需要が生まれる可能性がある。

東芝はまず工場内の数メートル先の配管ガス漏えい検知などでの早期実用化を狙う。また、脱炭素社会を見据えたCO2排出測定にも大きな期待を寄せる。今回の成果は防衛装備庁と文部科学省の支援のもと、物質・材料研究機構、東京工科大学との共同研究だ。

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