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フッ素を含有しない分散剤を開発!ヒントはムール貝の接着現象

東北大学材料科学高等研究所の藪浩准教授らは、有害なフッ素元素を含有しない分散剤を開発した。疎水性の粒子を水など多様な溶媒に分散できる。ムール貝の接着現象に着想し、接着性ポリマーで粒子表面を被覆した。環境負荷の大きいフッ素系界面活性剤の代替として実用化を目指し、積水化成品工業に技術提供し、同社で工業化に向けた生産体制構築を進める。

バインダーや潤滑剤の製造過程では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂粒子を溶媒に分散させる。この時、粒子表面を溶媒と親和性の高い分散剤で被覆する必要があり、フッ素系界面活性剤が使われている。だが、フッ素系界面活性剤は生体蓄積性や環境残留性が指摘され、規制が強化されつつある。 

研究グループは水と親和性の高いエチレングリコール基を持つモノマーにムール貝の接着分子であるカテコール基を共重合させた分散剤を開発。これで表面を被覆することで、水への分散が難しい表面自由エネルギーが小さな粒子も分散させられることを示した。

開発した分散剤を溶液にしてPTFE粒子を数分間かき混ぜるだけで簡易に被覆PTFE粒子を作れる。この被覆粒子を遠心分離で回収し、水中で超音波処理することで、PTFE粒子が水に分散することを確認した。

また、PTFE粒子だけでなく、酸化亜鉛粒子など他のナノ粒子でも分散できた。

日刊工業新聞2021年10月7日

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