日銀が5地域で景気判断引き下げ、半導体不足が下押しに
日銀は発表した10月の地域経済報告(さくらリポート)で、国内全9地域のうち東北、東海、近畿など5地域の景気判断を引き下げた。2020年7月に全地域を引き下げて以来の多さで、残り4地域は判断を据え置いた。新型コロナウイルス感染症の感染再拡大や自動車産業を中心にした半導体不足が下押しし、国内景気は持ち直しの動きが一服している。
今回の経済報告は調査期間の関係で、9月末の緊急事態宣言の解除後の動向を十分に反映していない。これまでもコロナ禍影響が甚大だった個人消費は、夏場の感染再拡大を主な理由に東北、東海、近畿、中国、四国といった5地域の判断を引き下げた。
生産は東北、東海、中国、九州・沖縄の4地域で引き下げ。半導体不足で世界の自動車大手が減産措置を取り、車関連企業での影響が色濃い。中国では、「下押し圧力が強まっている」(日銀)と分析する。
一方、世界的なデジタル化の潮流に、半導体製造装置や電子部品といったIT関連分野は、需要が一段と高まっている。これを背景に、設備投資は判断の引き下げが四国の1地域にとどまり、中国、九州・沖縄の2地域で引き上げた。
今後は、緊急事態宣言の解除による個人消費の動向、中国不動産リスクの世界経済への波及状況などが焦点になる。
日刊工業新聞2021年10月8日