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マスクの伸縮から表情を推定する技術開発、手を使わない機器操作で活用へ

マスクの伸縮から表情を推定する技術開発、手を使わない機器操作で活用へ

導電糸を配線した不織布マスクを装着する(阪大提供)

大阪大学の山口慶太郎大学院生と奥山和輝大学院生、西川敦教授らはマスクの伸縮から表情を読み取る技術を開発した。不織布マスクに導電糸を配線し、抵抗値変化を機械学習にかけて表情を推定する。驚きなど五つの表情推定ができた。手を使わずに電子機器を操作する用途などに提案していく。

導電糸を不織布マスクに配線して、装着者に表情を作らせて抵抗値変化の識別モデルを作る。マスクの中央で十字に2本、その右側で縦に1本の計3本の導電糸の変化を測定。実験では怒りや驚きなど15種の表情を作って5種の表情を高精度で推定できた。精度を表すF値は0・9を上回った。おおまかに10回に1回、見逃しや誤検知がある程度の精度になる。

特定の表情が推定できるとスイッチ代わりに利用できる。マスクを通じてスマートフォンの音量を上げるなどハンズフリー操作を想定する。医師が手術中に両手が使えないといった場面にも展開できる可能性がある。

現在は技術的に可能かを確かめる基礎検証の段階だ。導電糸の信号は増幅し、表情推定はパソコンで処理している。

ただ、導電糸3本で推定可能であるなど、最も簡単な構成が特定できればコスト競争力のあるデバイス設計が可能になる。

表情がより高精度に推定できれば、表情筋の活動量や日々の生体情報のモニタリングなどスイッチ以外のインターフェース技術としての可能性も開ける。

日刊工業新聞2021年9月29日

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