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コロナ禍の影響で「がん」が進行してから発見されるケースが増えている

横浜市立大学医学部の日暮琢磨講師らの研究グループは、コロナ禍の影響により胃がん・大腸がんの診断数、特に早期診断が減少し、がんが進行してから発見されるケースが増加していると公表した。横浜市立大学付属病院と国立病院機構横浜医療センターの両院で2017年から20年に新たに消化器がんと診断された5167人を調査した。

20年3月の前後で比較した結果、新規がんの診断数が胃がんで26・9%、大腸がんで13・5%有意に減少していた。がんの進行度を示すステージ別では胃がんのステージ1が35・5%、大腸がんはステージ0が32・9%、ステージ1が34・0%、ステージ2が35・3%と有意に減少した。

再診患者数はコロナ禍前後で有意な減少はなかったが、初診者数が有意に減少した。無症状・軽症状の患者が自粛により受診を控えた結果、初診者数が減少したとみられる。胃がんや大腸がんは早期では症状が出ないことが多く、受診控えにより早期診断数が減少した可能性がある。

また大腸がんに関しては大腸カメラの施行時期の遅れにより進行したステージでの発見例が増加したと考えられる。これらを踏まえ、過度な受診抑制を行わず適切な時期での検診が重要だと結論づけている。

日刊工業新聞2021年9月24日

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