「景気」持ち直しのテンポ弱まる。その主な要因は?
政府は9月の月例経済報告で、足元の景気について「依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっている」とし、下方修正した。新車や家電などの耐久財の販売減速や自動車の減産が主な要因だ。ただし、「上向きの動きで足踏みしている。景気後退の局面ではない」(内閣府)と説明している。
個人消費は「弱い動きとなっている」と下方修正した。外食や旅行などのサービス消費の低迷に加え、天候不順によりエアコンや冷蔵庫の販売に弱さがみられる。新型コロナウイルス感染症再拡大に伴う消費マインドの低下や、東京五輪・パラリンピック効果剥落の影響もある。
生産も「このところ一部に弱さがみられるものの、持ち直している」と下方修正した。電子部品・デバイスや生産用機械の生産は堅調だが、自動車などの輸送機械の生産が下がり基調にある。半導体不足や東南アジアの感染拡大に伴う部品供給不足が影響している。
住宅建設は「このところ持ち直しの動きがみられる」と上方修正した。住宅取得支援策の下支えもあり、住宅着工が増加しているためだ。
基調判断について内閣府は「雇用所得や企業収益は持ち直しており、マイナス方向の修正ではない」という。ただ、内外の感染症の動向やサプライチェーンを通じた影響は「下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」と警戒する。
日刊工業新聞2021年9月17日