孫さんが「日本復活の鍵」と熱弁する“スマボ”とは?

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孫氏はAIで学習するロボットの必要性を熱弁した(15日)

“スマボ”が日本を強くする―。ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は15日の講演で、人工知能(AI)により学習する「スマートロボット(スマボ)」の普及に力を注ぐ方針を示した。人によるプログラミングで動くロボットと比べて柔軟な運用が可能な点などに将来性を見込んでいる。人手不足や生産性の伸び悩みに直面する国内産業界にとっての意義も強調したが、実際に高い導入効果を示していけるか試される。 (編集委員・斎藤弘和)

「今まで日本はロボット大国だと言われ、あらゆる製造現場でさまざまなロボが活躍しているが、僕はこれを“ガラボ”だと思っている。これから、スマボがロボの世界を一瞬で塗り替える」―。孫氏は、従来型携帯電話(ガラケー)がスマートフォン(スマホ)に置き換わって人々の生活に変化をもたらしたことを引き合いにしつつ、こう熱弁した。ガラボやスマボは孫氏の造語とみられる。

スマボの優位性に関しては「ガラボは人がいちいちプログラミングをし、決まった動作をする。スマボはAIで自ら学習し、臨機応変に動いていく」と説明。応用が利きやすいため、より多様な産業で使われるようになるとみており、SBGはこの分野へ積極的に投資していると訴えた。

投資先の例として、自動倉庫型ピッキングシステムを手がけるノルウェーのオートストアや、物流拠点向けロボット開発会社である米バークシャーグレイを紹介。「この両方(の商材)を統合すれば、世界最強の倉庫システムができる」(孫氏)。国内ではSBG傘下のソフトバンクロボティクス(東京都港区)がオートストアの製品を発売した。バークシャーグレイについては2022年以降に販売を始める見通し。

また、詳細な時期は明らかでないが、中国キーンオン・ロボティクスの配膳ロボットなども日本での展開が計画されている。

スマボが必要な背景として孫氏が指摘したのは、日本の競争力低下だ。「労働人口は急に増えない。生産性も低迷したままだ。スマボが日本復活のカギを握る」と分析。加えて「僕に特技があるとするなら、時代の流れを人よりも少し早く的確に読むこと。昔から得意」と豪語した。

SBGはスマボの領域でソフトバンクロボティクスやオートストアなど18社を抱える。孫氏はこれについても「最先端のスマボ企業軍団」と自賛する。思い描いた未来の実現に向け、今後は投資先の業績向上や自社グループ企業同士の相乗効果拡大をどれだけ進められるかが問われる。

日刊工業新聞2021年9月

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