体積10分の1、重さは20分の1。電線に後付けできる超小型電流センサーユニットが生まれた!
大阪市立大学発ベンチャーのSIRC(サーク、大阪市中央区、高橋真理子社長)は、電線に後付けできる手のひらサイズの超小型電流センサーユニットを9月に投入する。従来品のような「コア」がなく軽いため狭く複雑な配電盤に取り付けやすい。ワイヤレスで、機器の直流・交流電流の常時監視向けIoT(モノのインターネット)センサーなどの用途を見込む。価格はオープンとし、直販で1台5万円以下を想定する。初年度に数億円の売り上げを見込む。
新製品の名称は「IoT電流センサユニット」。電線に取り付けるドーナツ状の円筒形ヘッドの外径は約2センチメートル。制御回路と近距離無線通信「ブルートゥース」のユニットは1辺3センチメートル程度。デバイスの配置や配線を工夫し、従来の大きくて重いコアをなくす一方、外部の磁場の影響を抑え、高精度で安定的な測定を実現した。デバイスは5ミリメートル角の超小型省エネルギーの磁性薄膜センサー素子で電流、電力など4種類のデータ抽出ができる。
工場やビルなどでエネルギーマネジメントを高度化し、省エネや脱炭素を実現するため個別機器を常時監視するデジタル変革(DX)のニーズが高まっている。これまで電流測定は交流電流用のカレントトランス(CT)などが使われてきたが、狭い配電盤に取り付けられないことがあった。新製品は一般的なCTと比べ体積が10分の1、重さは20分の1で搭載しやすい。
太陽光発電や電気自動車などに使われる直流電流の測定ニーズにも対応。従来の半導体ホール素子センサーは精密な制御や定期的な校正が必要だった。
日刊工業新聞2021年9月6日