大型タンクや産業インフラの検査で活躍、「超音波連続板厚測定ロボット」の効果
足場削減、コスト抑える
ウィズソル(広島市西区、外輪純久社長)は、大型タンク、産業インフラなどを対象とした検査・診断事業を展開する。非破壊検査を中心に手がける。自社開発の無線式の超音波連続板厚測定ロボットを投入して、検査員の負担軽減や検査コスト低減を図っている。また、高所配管などの肉厚を測定するための超音波センサー搭載飛行ロボット(ドローン)の開発も進めており、11月をめどに実証実験を行う計画だ。(広島・水田武詞)
以前は超音波を使う検査装置では、手動式や有線の自走式装置を活用してきた。現在、新たに現場投入しているのが、無線式の超音波連続板厚測定ロボット「UDP―32」だ。
バッテリー搭載で約4時間稼働できる。配管などの板厚を調べ減肉部などを確認できる。32個の超音波センサーを備え、1回の走行で約340ミリメートルの範囲を測定し、板厚2ミリ―60ミリメートルに対応する。検査速度は同社装置比約1・5倍に高めた。重さは約14キログラム。マグネットローラーで対象物に吸着し測定する。超音波の測定データも無線でパソコンに送信する。
検査にロボットを導入したのは、顧客の要望があったからだ。石油精製や石化プラント、発電所などの大型配管、石油タンクでは検査用に足場を組む。この足場を組む付帯工事費が検査費用の約7割を占めてしまう。
これに対し、バッテリーを搭載し無線操作する自走式ロボットを使えば、足場を組む場所を絞ることができ、検査そのものに使う費用を増やせる。加えて無線式としたことで、有線式で必要だった長さ20メートル、重さ15キログラムほどある電源用と超音波用ケーブルが不要となり検査員の負担も軽減した。
ロボットによる測定は超音波の波形が精度良く取得でき、顧客からも好評という。ただ無線操作ロボットという従来とは異なる装置であるため普及には少し時間がかかりそうだ。検査員は、離れた場所にあるロボット操作に慣れる必要がある。小柴貴之取締役は「ロボットをどう動かせばよいか、検査で使ってみて気付くこともある」と明かす。運用ノウハウを着実に積み重ねていく。
同社では、小型ドローンを使ったプラント設備の目視検査にも取り組んでいる。検査箇所の1次スクリーニング(選別)に活用する。ドローンからの画像をもとに、不具合のある場所を把握し、その後の詳細な検査や補修につなげる。
また線状測定が可能な超音波肉厚測定器を搭載したドローンの開発も進めており、配管などの検査に活用する計画だ。プローブ(探針)を測定対象に当てて移動させ、より多くの測定データを得て精度を高める。小柴取締役は「ドローンはA3サイズ程度の見込み」という。経済産業省の「産業保安高度化推進事業費補助金」に採択されており、11月をめどに福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)の施設を使い実証実験を行う予定だ。