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17年ぶりに人事制度を全面改定した中国銀行の事情

中国銀行は4月、17年ぶりに人事制度を全面改定した。専門コースの新設、副業の解禁、キャリアチャレンジ制度の拡充など改定項目は多岐にわたる。金融業のデジタル化進展、顧客が求めるニーズの多様化と高度化、さらに行員の意識変化という「内外の環境変化に対応した」と西宇建雄執行役員人事部長は説明する。

2023年3月までの中期経営計画では「地方創生、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の取り組み強化」「お客さま本位の営業の『深化』」を第1、第2の柱に掲げる。今回の人事制度改定で総合職は支店長を務めるマネジメント人材の育成という従来モデルから、高い専門性を持つプロ人材も育成するモデルに転換。「地域や顧客の課題解決につなげ共に発展を目指す」(西宇執行役員人事部長)。

背景にあるのは銀行が提供できる業務の多様化だ。銀行法で業務範囲を規制されてきたが、規制緩和により人材紹介業務などが可能になった。さらに銀行法などの改正法が成立し、11月にも施行される見通し。今後はデジタル化や地方創生に資する業務を銀行本体で提供可能になる。

人事制度改定により「専門コース」と「専任職」を10月に新設する。専門コースは経営戦略上の重点領域を担う人材で、IT分野、地域商社などの新規事業分野を想定する。また、行員の副業を解禁した。中小企業診断士といった国家資格を生かした活動やツアーガイド、スポーツ競技の審判など地域貢献に資する内容を認めている。

中期経営計画の第3の柱である「組織の活性化」を推進するための制度も設けた。総合職と地域限定総合職を統合し、男性も女性も法人向けと個人向けの仕事を志望できる仕組みにした。ほかにも、キャリアチャレンジ制度の拡充や目標難易度を新設。「やる気のある人を後押しする」(同)。行員の男女比率はおおよそ2対1という。全行員が性別や年齢に関係なく、活躍できる体制の構築を目指す。

日刊工業新聞2021年8月10日

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