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入れ歯が空を飛ぶ!?歯科技工物のドローン配送サービス開始へ

入れ歯が空を飛ぶ!?歯科技工物のドローン配送サービス開始へ

実証実験で搬送したジルコニア製差し歯

DSデンタルスタジオ(千葉市美浜区、小山田真一朗社長)は、2023年をめどに飛行ロボット(ドローン)で入れ歯や差し歯、インプラント(人工歯根)など歯科技工物の配送に乗り出す。先端ロボティクス財団(東京都中央区)などが首都圏で構築するドローンによる物流ハイウエーを活用する。配送コスト削減と省人化を実現し、従業員の仕事を歯科医や患者との立ち会いなど「人手でしかできないことにシフトする」(小山田社長)方針だ。

DSデンタルスタジオは歯科技工物を従業員が運転する自動車や宅配便で配送している。千葉市から横浜市まで車で配送すると、帰社する必要があり、往復で3時間かかる。これがドローンで配送すると1時間に短縮できると試算している。

ドローンを使うと直線距離で移動でき、渋滞がないため時間だけでなく燃料費も削減できる。先端ロボティクス財団などが6月に実施した横浜市―千葉市間のドローンによる長距離飛行の実証実験に参加して確認した。

実験では同社が製造したジルコニア製差し歯を搬送した。重量は容器を含めて50―60グラムで価格は20万円程度。ドローンの配送には軽量で高価な搬送物が適しており、歯科技工物の配送にドローンを採用することにした。

当初は宅配便で配送している歯科技工物からドローンに切り替える。先端ロボティクス財団が開発に着手した新型機は垂直に離着陸でき、飛行速度が時速150キロメートルに向上するため、さらにドローン活用が進められると見ている。

先端ロボティクス財団はドローン物流ハイウエーを東京都や川崎市、ベイエリアの各都市を結びながら、房総半島や三浦半島まで拡張する構想がある。このドローン物流ハイウエーの拡張に合わせ、配送エリアを広げる。

人工知能(AI)やコンピューター利用設計・製造(CAD/CAM)、ミーリングマシン、3Dプリンターなどを活用し、歯科技工物製造の自動化も進める。将来はドローンと無人走行車(UGV)との連携も想定しており、配送の自動化も視野に入れている。

日刊工業新聞2021年8月12日

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