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車載電池用封止材の新工場を建設する淀川ヒューテックの戦略

淀川ヒューテック(大阪府吹田市、小川克己社長)は、滋賀県甲賀市に、主に車載向けとなるリチウムイオン二次電池(LIB)用の封止材、ガスケットシール材(写真)の新工場を建設する。投資額は約20億円。LIBパックの密封に必要なガスケットの生産能力は2025年3月期に現状の2倍規模となる月産約6000万個に高まる。脱炭素の潮流で電気自動車(EV)シフトが加速する中、国内車載電池メーカーの需要増を支える。

車載用ガスケットは現在、甲賀市の淀川ヒューテック子会社の工場で生産している。同工場の敷地内に鉄骨2階建て、延べ床面積4500平方メートルの新工場棟を9月末に完工。22年1月から稼働予定の生産ラインは既存棟と同規模の20ラインを順次導入し、計40ライン体制となる。約35人の新規雇用も計画する。

一方、中国・江蘇省の工場でも約3億円を投じ、今後4ラインを追加し10ライン体制にする。24年には月産約2000万個の生産を敷き、現地進出の日系メーカーに供給する。

淀川ヒューテックのガスケットはフッ素樹脂製で独自の熱加工法によるもの。一般的な射出成形より熱で変形しにくく、シール機能を発揮するため車載電池メーカーからの評価が高い。ガスケット生産への影響は少ないが足元では半導体不足が自動車生産に影を落とす。ただ半導体の回復時を見越し「ガスケット生産増強への要望は強い」(小川社長)こともあり先手を打つ。

同社単体の21年3月期売上高は前期比約10%増の350億円。耐熱性に優れた同樹脂などがけん引し22年3月期売上高は400億円到達を視野に入れる。

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日刊工業新聞2021年8月11日

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