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廃棄漁網を再生してかばん開発。実現したユニークな企業パートナーシップ

廃棄漁網を再生してかばん開発。実現したユニークな企業パートナーシップ

廃棄された漁網を再生して開発したかばん。水色や紺色に統一した

兵庫県鞄工業組合(兵庫県豊岡市)は10月、廃棄された漁網を原料に再生して開発したかばんを発売する。日本財団(東京都港区)で開いた発表会でお披露目したかばんは“漁網由来”とは思えないファッション性がある。海の環境を大切にしたい思いを込めて水色や紺色に統一したという。

漁網リサイクルには多くの企業が携わる。まず山本漁網(北海道厚岸町)が、地元漁港から使用済み漁網を回収し、リファインバース(東京都中央区)のリサイクル工場で繊維原料にする。次に住江織物で布に加工し、かばんの産地である豊岡市で兵庫県鞄工業組合の加盟企業がかばんに仕上げる。

日本で発生する海ゴミの3割は漁網類。海上での回収は難しく、処分費もかかるため漁業関係者だけでは解決できなかった。今回、全国各地の企業が連携することで漁網の再生を実現し、海への廃棄を抑制する。

同組合の由利昇三郎理事長は「モノを大事にするというメッセージ性を持ったかばん作りは、持続可能性に取り組めて企業責任を果たせる」と意義を語った。日本財団の笹川陽平会長は「付加価値の高い商品への変換が海ゴミ対策のモデルになる」と期待を寄せた。

日刊工業新聞2021年8月6日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
海岸に漂着したプラごみを製品に再生する事例が増えています。この記事で紹介したのは、不要になった段階での回収です。使用済み漁網を製品にしてくれるリサイクルがあると分かると、廃棄がなくなり、漂着ごみの発生を防げます。あと、企業のパートナーシップがユニークです。

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