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日本のユニコーン「メルカリ」の快進撃はいつまで続くのか

文=山口豪志(デフタキャピタル アクセラレーター)CtoCフリマアプリの可能性と課題
日本のユニコーン「メルカリ」の快進撃はいつまで続くのか

代表の山田進太郎氏(メルカリのウェブサイトより)


利用者の質、出品物の質をどれだけ担保できるか


 では今後、全てが順調に進むのかというと、もちろんそれほど単純ではない。CtoCのマーケットプレイスの良さでもあり、弱点にもなり得るのが、“質”である。利用者自体の質ももちろん、出品物の質も問われる。CtoCサービスの課題として、質の担保をどの程度しっかりケアできるか、それが安定的に使われ続ける重要なポイントだ。

 この辺りのオペレーションをしっかり組めるかどうかで、長期的なユーザーとの関係構築につながっていく。言い換えれば、初めて使う人が良い体験をし、それによってまた使いたい思えるサービスになれるかどうかである。

 当然、その点においても競合プレーヤーであるyahoo!オークションや楽天、ZOZO TOWNなどの大型資本を持つ企業群が攻勢を強めてくる。これから先は簡単には勝たせてもらえない状況にもなるだろう。

 また、現在進めている世界戦略において、北米には彼らは凌ぐビックプレーヤーが既におり、日本以外のマーケットでどれだけ市場シェアを取れるのかはまだ未知数。

起業家に夢と希望を与える存在に


 しかしながら、日本発のインターネットサービスで世界的なポジションを確立している企業は少なく、それを創業3年程度でチャレンジしているメルカリは他のベンチャー企業とは別格の存在であるのは間違いない。

 今後の成長ストーリーを考えると、国内は引き続き、TVCMのようなマスにアプローチする手法やリアルイベンドで老若男女に向けてサービスを一般化させていくはず。「フリマアプリ=メルカリ」という状況を実現させながら、流通を取って行くことになるだろう。

 また、海外での市場開拓については、各地の流通、国民性、購買活動の特徴などそれぞれに異なるアプローチが必要で、そこをより注目していきたい。

 日本発のユニコーン企業のさらなる成功は、それに続く起業家に夢と希望を必ず与えるはずだ。
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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
フォーブス日本版で2年連続で「日本の起業家」トップに輝いた山田進太郎氏。彼はあるインタビューで思想的にリバタリアンと語っている。いろいろなシェアエコノミーで世界をあっと言わせてほしい。

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