住友化学は500億円、半導体の大型投資が活発化へ
住友化学は2025年までに、国内外で半導体製造プロセス材料の増産や設備更新に300億―500億円を投資する。愛媛工場(愛媛県新居浜市)と中国2拠点で、新工場建設を含め半導体表面の異物を除去する洗浄用薬品を増産する。最先端プロセス向けフォトレジストは、現行の増産計画を上乗せする。急激な半導体市場の拡大に対応し、今後、半導体材料の大型投資の増加が予想される。
住友化学は24―25年頃の需要を見据えて増産計画の詳細を詰めており、各設備は順次稼働させる。愛媛工場では、洗浄工程で使う高純度硫酸の生産能力を現行比2倍近くに引き上げる。中国では西安市と常州市に洗浄用薬品の高純度化を行う工場を持っており、その近隣に建屋を建設し、設備を増設する。西安市では設備1系列を追加し、常州市での増産規模は需要動向を見て決める。
半導体に回路パターンを焼き付ける露光工程向けの感光材「フォトレジスト」は、液浸フッ化アルゴン(ArF)露光などに対応する最先端製品の生産能力を19年度比2・25倍に引き上げる。同社は大阪工場(大阪市此花区)で22年度中に同1・5倍への引き上げを計画するが、25年頃には不足する見通しのため計画を上乗せする。次の増設は大阪以外も候補に検討する。このほかの製品でサプライチェーン(供給網)を確保するための設備更新投資も予定する。
半導体各社の積極的な増産計画を受け、日本勢が得意とする高品質材料の需要が伸びており、今後、大型投資が活発化しそうだ。昭和電工は23年までに半導体材料ガスで複数件の増産投資を行う。信越化学工業はシリコンウエハーの生産能力拡大を検討。各社は先行して材料の安定供給体制を整え、事業を拡大する。
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日刊工業新聞2021年7月14日