自動車産業に特化したファンドへの参画。部品メーカーの関心が高まる事情
マークラインズ子会社などが運営するファンド「自動車産業支援ファンド」に事業会社の参画が決まった。車両配管大手の三桜工業が近く2億円を出資する。同ファンドは先進的な技術を持つスタートアップや、独自技術で再成長を図る中堅企業を支援する。(国広伽奈子)
自動車産業支援ファンドはマークラインズ子会社の自動車ファンド(東京都千代田区)とSBIキャピタル(同港区)が共同で運営し、自動車産業に関する投資に特化する。1号ファンドの目標額は50億円。現在、出資者を募っている。
「自動車部品メーカーの関心が高まっている」―。自動車ファンドの酒井誠会長(マークラインズ社長)は明かす。自動車の電動化や、サプライヤーのケイレツ解消の動きなど経営環境が急変していることが背景にある。同ファンドに参画することで「世界のスタートアップや、有力中堅企業にアプローチできる」と酒井会長はメリットを訴える。
マークラインズは約5万社の自動車関連企業のデータを掲載する会員制サイトを運営するなど情報力が強み。三桜工業の竹田玄哉社長は「海外企業については、1社単独で入手できる情報量に限界を感じていた」と明かし、自動車産業支援ファンドへの出資に関し「マークラインズの目利き力への期待は大きい」と語る。三桜工業は同ファンドを通じて得られる情報を生かし、既存事業の生産改革や新規事業につながる技術の獲得を図る考えだ。
同ファンドは、参画企業と出資先企業との協業支援、参画企業が出資する企業に対する共同出資などのサポートも展開する計画。参画企業の募集では、シートや配管といった部品分野ごとに1社に限定している。同ファンドへの出資を通じ得られる情報や知見を競合他社との差別化に生かせるように配慮した。
自動車ファンドとSBIキャピタルは、商社や人材紹介会社などにも同ファンドへの出資を呼びかけ、自動車業界で成長を図る企業の支援体制を整える。