鉄道業界で初!東京メトロがデプスカメラとAIで列車混雑をリアルタイム計測

デプスカメラ、主要駅に順次設置

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デプスカメラはホーム端に設置し、駅を出発する列車内の混雑状況を1台で計測(東京メトロ提供)

東京メトロは、上野グリーンソリューションズ(横浜市)と共にデプスカメラと人工知能(AI)を用いた列車混雑計測システムの開発に取り組んでいる。奥行きの情報を取得する深度センサーを内蔵したデプスカメラを用いて列車混雑をリアルタイムで計測するのは、鉄道業界で初めての試みという。2021年度中をめどに、東京メトロ各路線の主要駅に順次設置していく計画だ。

号車ごとに算出

これまで列車の混雑状況は、車両の重さや駅ホームでの人による目視で把握するケースが一般的だった。だが「車両の重さを用いた手法では、相互に乗り入れをしている他社の列車の混雑状況までを把握することは難しかった」(吉野秀行運転部輸送課主任)という。

開発したシステムはデプスカメラをホーム端に設置し、駅を出発する列車内を撮影する。撮影した映像からエッジサーバーで混雑情報をテキストデータ化し、クラウドサーバーへ送信する。クラウド上では機械学習をしたAIによって分析、解析させることにより、駅を出発してから十数秒で列車の混雑状況を号車ごとに算出する。

一つのホーム当たりデプスカメラ1台を設置することで、駅を出発する列車内の混雑状況をすべて計測できる。このため「新たに開発したシステムでは、相互乗り入れする他社の列車であってもリアルタイムに計測することが可能」(同)という。解析したデータはアプリなどを通じ、リアルタイムで混雑状況を利用者に提供していく考えだ。

デプスカメラの撮影画像イメージ(東京メトロ提供)

状況を可視化

これまでに丸ノ内線新宿駅でデプスカメラを設置し、測定したところ、車両の重さとデプスカメラで計算した結果の決定係数は0・97で予測できることを確認した。「AIを使って混雑状況を可視化でき、さまざまな車両に対応できる」と運転部輸送課の足立茂章課長補佐は期待する。

東京メトロでは全駅改札口の1週間平均での時間帯ごとの混雑状況や、全路線全区間の1週間平均での時間帯ごとの混雑状況の情報をホームページやアプリで情報提供してきた。

今後はデプスカメラとAIを組み合わせた列車混雑計測システムにより、リアルタイムで車両ごとの混雑状況の把握ができるようになる。

安心な空間

新型コロナウイルスの感染拡大により、鉄道会社においても対策が求められるようになった。同社では安心な空間、パーソナライズド、デジタルに基づいた施策の一環として列車混雑計測システムを展開していく。(浅海宏規)

日刊工業新聞2021年6月4日

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