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サッポロが中長期のビール安定生産へ耐カビ大麦開発へ、気候変動をにらむ
サッポロホールディングス(HD)は、2024年をめどに赤カビや穂発芽などの植物病害に耐性がある新種の大麦を開発する。年内に品種の交配に着手し、30年にも品種登録を出願。35年までに国内で実用化し、50年までに海外での実用化を目指す。今後予想される気候変動による収量の減少にも耐えられる品種を開発することで中長期でビール類の安定生産につなげる。
サッポロHDは北海道原料研究センター(北海道上富良野町)などを中心に大麦やホップの独自品種を開発。「きたのほし」など35品種を開発し、商品に採用した。新品種はきたのほしの独自麦芽「旨さ長持ち麦芽」に、赤カビや穂発芽に耐性を持つ品種をかけ合わせることで開発する。
群馬県の原料研究センター原料育種開発グループが交配を始め、個体を選抜。24年をめどに新品種を完成し、さらに収量性の試験などを進め、26年頃から北海道の公的試験を実施。30年に品種登録する計画だ。新品種はまず北海道で展開することを想定する。
ビール大手は「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言を受け、気候変動のシナリオを予測。これを基に主原料である大麦やホップの収量減少に先手を打って対応している。
アサヒグループホールディングス(GHD)は、伊ビラ・ペローニを通じて「キャンパス ペローニ」プロジェクトを立ち上げ、イタリアの国立農業研究センター、六つの地元大学の農学部などと連携。大麦栽培の持続可能性などを目指し、産学官の取り組みを進める。
サントリーホールディングス(HD)は、チェコのホップ研究所と連携。栽培技術や資材を提供し、永続的な必要量の確保を目指し開発を進めている。
キリンホールディングス(HD)は、独自の植物大量増殖技術の活用を模索する。気候変動による収量減少の原因に耐性のある品種を開発した企業や研究機関などと連携。新品種と増殖することで安定して必要量の原料確保につなげたい考えだ。