【動画あり】水中構造物の補修が容易に!神戸高専が開発した「真空吸着グリッパー」がスゴい
神戸市立工業高等専門学校の橋田翔本科生と小澤正宜講師らは、水中溶接に耐えられる大型万能真空吸着グリッパーを開発した。溶接の火花を受けるスパッタシートなどを搭載し、耐熱性と水中吸引性能を確かめた。水中でグリッパーを吸い付け、その内部で溶接する。現行の方法は密閉容器で遮水して空気を満たし、溶接の作業空間を作る。グリッパー内で完結すると排水量を最少に抑えられ、容易に水中構造物を保守できると期待される。
耐熱性の大型真空吸着グリッパーを製作した。想定溶接長さは20センチメートル。グリッパー内の水は約1分で排水できる。水の外でグリッパー内の溶接実験を行い、溶接熱への耐性を確認した。溶接後も真空吸引の性能に変わりがないことを確かめた。排水速度と耐久性から、グリッパー内での乾式水中溶接が現実的だと判断できた。
今後は水中でのグリッパー内溶接の実験を行う予定。溶接トーチの構成など、対象や作業に合わせた機器設計が必要になる。また、溶接長を長くするにはグリッパーの大型化が必要になる。高出力の溶接機を使う場合も耐熱性能向上のために大型化する。
排水などの効率は小さなグリッパーが向くため、開発したグリッパーは小さな補修箇所を多数溶接するような作業に向くと考えられる。水中ロボットに搭載できれば、深海での設備補修などに活用できる。
日刊工業新聞2021年6月17日