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「沖縄海洋ロボコン」リポート〈前編〉波乱のROV部門

11月21、22日に那覇市の海で開催
「沖縄海洋ロボコン」リポート〈前編〉波乱のROV部門

完全勝利した沖縄能開大チーム「ちゃんぷる~号」

 沖縄県と琉球大学産学官連携推進機構が主催した「第1回沖縄海洋ロボットコンテスト」が那覇市内で行われた。前年のプレ大会に続き、初の本開催となった。地元や九州の大学・高等専門学校に加えて、岩手からの参加や小中学生チームのエントリーなど、バラエティに富んだ顔ぶれがそろった。

 プールなど真水で行われる水中ロボットのコンテストはすでにあるが、海で行うのは国際的にもめずらしい。海水中での電子機器の作動は厳密な防水対策が必要。真水では動いても海水だと動かなくなることも多くあるなど、高い技術レベルが求められる。海洋ロボは資源探査への応用などが期待される分野だけに、技術の底上げを図ることを目的とした、同コンテストへの幅広い参加には希望が持てる。

 コンテストは21、22日の2日間にわたり行われた。会場は那覇市内の「波の上うみそら公園」。那覇空港から車で5分ほどの距離にあり、人工海浜やダイビングスポットが整備されている。地元客にも、観光客にも利用されている。

 21日のプレゼンテーション審査に続き、実機競技が行われた22日は少し雲があったものの晴天に恵まれた。最高気温27度Cを超える暑さで日差しも強かった。前年のプレ大会の荒天とはうって変わった陽気に、関係者はほっと胸をなでおろしたはずだった。

 だが、海中は事情が違った。会場は那覇港内ではあるが、外海からの風で海面はさざ波立った。海中は砂が巻き上げられ視界1メートル程度となり、空とは裏腹の厳しい競技環境になった。

ユニークな機体がそろったROV部門


 最初の競技はROV(遠隔操作型無人探査機)部門。有線や無線を通じて、離れた場所からロボットを操る。水面近くなら陸上から目視で確認できるが、深く潜ればロボットに搭載したカメラなどセンサーのみが頼りだ。

 ROV部門では、海中の目標物をカメラで撮影することで加点される。また着水後の作動、潜水、観客を湧かすなどを総合的に判断した特別点も加わる。

 目標物はスタート地点の5メートル先に、目印となる3つのブイが、1辺5メートルの正三角形を描くように浮いている。各ブイから50センチメートル離れた位置の、海底から50センチ-1メートルの高さの水中に「首里城」などの写真が配置される。それを10分間のうちにロボットのカメラが捉えられれば得点し、5秒間ホバリングできればさらに加算される。

 参加したのは9チーム。コンセプトや構造に工夫を凝らしたロボットがそろった。なかでも北九州工業高等専門学校チームは、飛行ロボット(ドローン)をイメージした形状で参戦。九州職業能力開発大学校チームは、円筒状の赤い機体に白いGPSアンテナをつけた機体を投入した。また九州工業大学大学院チームはヘッドマウントディスプレーを着けて登場。沖縄県南城市の大里中学校チームは、流線型で黒一色のユニークな機体で年長者相手に勝負を挑んだ。

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三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
潮の干満や風、流れの具合など、必ずしも全チームが同じ条件での競技ではありません。しかし、そこが海で行う醍醐味とも言えます。高いレベルを目指すからこその悪条件が、競技の盛り上げにつながっていました。

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