地域と連携して古紙再生、日本製紙が資源調達の長期安定化へ「循環型システム」
日本製紙は資源調達の長期安定化に向け、自治体と古紙リサイクルの循環型システムを構築する。第1弾で熊本県八代市と連携。新聞や雑誌、段ボール、紙パックなどの回収に乗り出し、再資源化した素材を含む製品の出荷を6月中にも始める。市区町村と製紙会社の古紙全般での連携は珍しく、同社は全国各地に順次広げる考え。29日付で技術本部に「リサイクル推進室」を新設し、紙コップなどを含めて古紙の回収・活用を促進する。
今回の連携では家庭から出る新聞や雑誌、段ボールなどの古紙を八代市環境センター「エコエイトやつしろ」を通じて回収する。市内各地で既存の回収事業者が集め、八代市に納入したものを日本製紙が購入する形だ。
新聞・雑誌用紙などは市内の日本製紙八代工場、段ボールなどは広島県大竹市の大竹工場といった具合に同社の拠点で再資源化する。紙製容器や紙パックの細かな選別は八代市障がい者福祉事業所協議会の協力を得る。
想定する回収量は八代、大竹工場とも古紙活用品の消費量の1%以下。製紙会社の関与により分別が精緻化するため、一部焼却に回っていた分が減り、二酸化炭素(CO2)排出削減につながる。
日本製紙にとっては古紙市況の変動に大きく影響されず、拠点のある地元で資源を少量だが安定調達できる。4月には浜松市で使用済み紙容器リサイクルの実証試験も始めた。