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「沖縄海洋ロボコン」リポート〈後編〉AUV部門に見た自信

11月21、22日に那覇市の海で開催
「沖縄海洋ロボコン」リポート〈後編〉AUV部門に見た自信

ゴール後に喜びを分かち合う沖縄能開大チーム

 11月22日に開かれた「第1回沖縄海洋ロボットコンテスト」は、国際的にもめずらしい海で競技を行う大会。朝から昼にかけて実施されたROV(遠隔操作型無人探査機)部門は自然の難しさによる波乱含みだったが、劇的な展開となった。〈前編〉波乱のROV部門

 そしてAUV(自律型無人探査機)部門が始まった。ルールは基本的に、10分間でスタートからゴールのブイまで直線距離で40メートルの海中を進むこと。その間には四つのブイがランダムな間隔で浮かんでおり、これらのブイを通過したり、航行中に方向転換したり、航行後に浮上することでも加点される。

 有線・無線で操作するROVと違い、AUVは自律型のため、海に投入後はロボットに任せるしかない。ただ競技者が依頼すれば、ダイバーにスタート地点まで運んでもらい、再スタートすることは認められる。

 エントリーしたのは西日本工業大学、日本文理大学・九州工業大学、沖縄職業能力開発大学校、九州職業能力開発大学校の4チーム。しかしスタート直前に、九州能開大チームの出場キャンセルがアナウンスされる。超音波ソナーを備え、イルカの学名「トゥルシオプス」を冠した機体だったが、機械トラブルで泳ぐ姿は見られなかった。

AUV部門は三つ巴に


 競技は3者の争いとなった。第1走者は西日本工大「幸村(ゆきむら)」。チーム代表は真田さんだ。一人で抱えられる小型設計にスラスター(推進装置)四つを載せる。プロペラは3次元CADで設計し、3次元プリンタで出力。回路も自主設計したという。

 スタート地点に着水し競技開始。走り出しはスムーズだったものの、潮に流されたのかすぐに右方向に旋回してしまう。そのためダイバーに回収してもらい再スタート。しかし同様に右へ。駆動系に問題はなさそうで、走りはするが前に進まない。そして4度目のスタート後、方位センサーに異常がありそうだとして途中棄権となった。

 次は日本文理大・九州工大チームの「OCTA」。メタリックピンクをした円筒状の機体下部に黒いフレームを持ち、上下、前後、左右の各方向に合わせて五つのスラスターが付く。耐圧深度50メートルの高スペックで臨んだ。

 着水後は前にぐんぐんと進んでいく。ところが前進はするものの海中に沈んでいかず、常に機体上部が少し海面から覗く状態が続く。

 そこでチームは再スタートを決断。一度陸揚げし、前後に付けた発泡材の浮きを一つ取り外すことで浮力を弱めて再投入する。だが今度は前後のバランスが悪くなり、進みづらくなった。再度回収し、残り時間3分10秒で前後の浮きを付け替える。だが、スタート後に駆動しなくなりこちらも棄権を選んだ。

「いたずらっ子」世にはばかる!?


 2チームが途中棄権し、ROVと同じくまたも最終チームに期待がかかる展開に。AUVでも最後に登場したのは、ROVと同様にくしくも沖縄能開大チームとなった。前年に最優秀賞を獲得しており2連覇がかかる。

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三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
今後どんどん参加者の厚みを増して、子どもからプロまで、海洋ロボ分野を目指す世界中の人々が集まる大会になってほしいと思います。

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