駅中に「零売薬局」。JR東日本が出店を促す狙い
GOODAIDが首都圏を中心に約30軒
GOODAID(名古屋市中村区、服部雄太社長)は、首都圏を中心に駅構内で約30軒の薬局を新規出店する。資本業務提携したJR東日本のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)であるJR東日本スタートアップから出資金4500万円を得て、出店費用に充てる。医師の処方箋なしで医療用医薬品を販売できる「零売(れいばい)薬局」を展開する。利用者は隙間時間に医薬品を購入でき、通勤目的の鉄道利用客を取り込む狙い。
GOODAIDは複数の路線が停車し、乗降客数の多い駅を出店先に想定。同社はJR東日本スタートアップと2月から西国分寺駅(東京都国分寺市)構内で零売薬局を展開する実証実験を実施し、来店客数が市街地の薬局と比べ2倍に増え、リピート率が同7倍となることを確かめた。医薬品を購入する1人当たりの所要時間は約5分で、通勤や乗り換え時の隙間時間で医薬品を購入したい需要が大きいとみられる。
零売薬局は約1万5000種類ある医療用医薬品のうち、花粉症の薬や湿布など半数に当たる約7300種類を医師の処方箋なしで販売できる。保険適用外のため価格は自己負担だが、病院での診察が不要。病院代や診察の時間を削減できるとして、消費者などからも注目されている。
JR東日本は鉄道事業の不振を受け、駅を交通の拠点から「暮らしのプラットフォーム」への転換を推し進める。零売薬局の駅構内出店により、取り組みの進展を狙う。
日刊工業新聞2021年6月2日