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実験の地道な作業を自動化。研究者を支援する「デジタルラボ」がスゴい!

リンクス(東京都港区、オサムニア・モハメッド社長)は、企業や大学の研究開発工程を自動化(ラボオートメーション)する事業を本格展開する。協働ロボットや人工知能(AI)、クラウドを組み合わせたシステム「デジタルラボ」の提供を通じ、研究者を地道な実験作業から解放する。同社の社内資源を活用することで、自動化システムを通常の4分の1程度の1カ月半で構築。3年後に50社への導入を目指す。

デジタルラボは人の手作業を協働ロボットに置き換える「作業の自動化」やクラウドで研究データを自動保存・分析する「情報デジタル化」、AIで過去の研究データを基にロボットへ新たな指令を出す「実験計画の最適化」を支援する。

例えば化学品や医薬品、食品の開発工程で原料の最適な配合を探す際、従来は研究者が手作業で繰り返し実験したり、データを手書きでまとめたりしていた。デジタルラボの導入で、開発の迅速化や高精度な研究データの蓄積とともに、研究者により知的生産性の高い業務を担わせることを可能にする。

現状は、こうした作業の自動化や情報のデジタル化、実験計画の最適化に関するシステムを個々に構築するニーズが強い。さらに、オープンイノベーションでは複数の関係者が連携するため、一つのシステムを構築するのに5―6カ月かかる場合もある。

リンクスはクラウドやAI、ロボットに精通した技術者を社内に抱えており、これらのシステムを組み合わせ、短時間で構築することが可能。より高度・高精度な研究開発にも対応しやすい。

同社はデジタルラボを売り切りではなく、顧客のその時々の課題に応じて内容を柔軟に変更する「伴走型」のシステムとして提供。段階的なシステム導入も可能で、研究開発の自動化を継続的に支援する。

日刊工業新聞2021年5月27日

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