南相馬ロボット産業協議会が完成させたインフラ点検ロボ「MISORA」の実力
南相馬ロボット産業協議会(福島県南相馬市)の会員企業11社は、各社が連携して設計から加工、製作まで手がけた災害対応・インフラ点検のクローラーロボット「MISORA」を完成した。6月中旬に公開する。遠隔操作で4本のクローラーを回転して移動し、伸縮するロボットアームでさまざまな作業が可能。プラント点検や山間部での農作業などでの利用も視野に入れて事業化を目指す。
MISORAは、同協議会メンバーのYUBITOMA(福島県南相馬市)、タカワ精密(同)、タケルソフトウェア(同)、菊池製作所など11社が開発・設計・加工・組み立てまで全て行った。開発費は1000万円。
人の目や手が届かないところで精密な作業を行うロボットで、脚にもなる前後2本づつのクローラーの中央にモーター8台を設置。前後のクローラーが別々に動き、前・後進・旋回のほか上に伸びることができる。
狭い空間でも車体を軸に回る旋回が可能。モーター、基板が入るボックスに設置したロボットアームは5軸で制御。短いため振れが少なく、アームに設置するカメラやセンサーをスイッチ、ボタン操作だけで精密に動かすマスタースレイブ制御を実現した。2キロメートル程離れて遠隔操作できる。階段はジャイロセンサーで姿勢制御、デコボコの岩場も搭載したサスペンションで振動を本体に伝えない動作が可能。
マスタースレイブ制御と、クローラーをスムーズに動かす技術は、同協議会が関わる、ゆめサポート南相馬(福島県南相馬市)が特許を出願した。
国内で自然災害が多発している中、同協議会では「MISORAから、災害に強い新たなロボット開発につながる経験を学び、ロボット技術をレベルアップする。さまざまな場所でMISORAを動かし、ソフトを改良してさらにブラッシュアップしていく」(五十嵐伸一会長)としている。(いわき)