カーボンニュートラルゼロへ100億円投資、新日本理化の本気度
新日本理化は2030年に向け、天然油脂由来の高級アルコールや界面活性剤などの化学製品・技術の開発を加速する。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現するモデル工場の新設や五つある工場の再編を検討し、25年までの設備投資総額は100億円規模を見込む。25日には研究開発を加速する新研究所を京都府精華町にオープン。脱炭素や環境負荷低減への貢献を通じた事業成長を目指す。
新日本理化は石油や天然油脂由来の界面活性剤や樹脂に特定の機能を付与する添加剤などの化学製品を製造・販売する。50年のカーボンニュートラル実現を見据え、30年までに樹脂用可塑剤などの石油由来の化学製品を天然油脂由来に置き換え、天然由来製品の売上比率を現状の約3割から5割まで引き上げたい考え。
今後事業ポートフォリオを情報通信、モビリティ、ライフサイエンス、環境の4分野に再構成する。25年までの5カ年中期経営計画では連結売上高360億円、営業利益22億円が目標。
25日開設する「京都R&Dセンター=写真」の延べ床面積は4116平方メートル。土地や建物、設備を含めた総投資額は約30億円。従業員数60人。実験設備や分析機器を刷新し、試作用の射出成形機や押し出し成形機を導入。実験室とオフィスの壁をガラス張りにして従業員の交流を活性化する。既存の石油化学製品を代替可能な天然油脂由来の製品開発や生産技術の開発に取り組む。
関連会社を含む国内5工場は生産効率の向上を目的に再編を検討し、いずれかの工場内にカーボンニュートラルを実現するモデル工場を新設する。モデル工場は水素を動力とし、石油由来製品を製造しないなど「象徴的な工場にする」(三浦芳樹社長)狙い。
日刊工業新聞2021年5月25日