中小企業で在籍型出向が注目?人手不足対策として期待
日本商工会議所と東京商工会議所がまとめた全国の中小企業を対象にした在籍型出向に関する調査によると、他社社員の受け入れを検討したい(検討している)と回答した企業は全体の9・7%だった。コロナ禍の雇用維持策として在籍型出向は注目されている。人手不足の中、今後さらにニーズが増える余地はあるという。
在籍型出向は、コロナ禍で過剰となった社員を在籍のまま、人材を求める別会社に一時的に出向させる取り組み。厚生労働省が呼び掛けて、日商などが推進している。
調査では自社社員の他社への出向を検討したい(検討している)と答えたのは3・9%。中小のニーズは送り出しよりも受け入れにありそうだという。
実施・検討の上でネックとなる課題を複数回答で聞くと、「人件費などの経費を相手先とどう分担するか」(58・3%)、「出向者の適正や能力・スキル」(57・7%)、「相手先企業とのマッチング」(39・1%)など多岐にわたった。
現状は人手不足という回答は全体の44・4%。2019年の66・4%と比べて差はあるが、20年夏に比べ8ポイントの増加。地方を中心に不足感が戻り、対応策の一つとして在籍型出向が期待される。
同調査は、2月1日から3週間かけて全国の商工会議所を通じて実施。中小企業3001社から回答を得た。
日刊工業新聞2021年5月11日