光の照射で人工筋肉を自在に形成できるスゴイ技術の仕組み
北陸先端科学技術大学院大学の平塚祐一准教授と杜釗大学院生らの研究グループは、光の照射で人工筋肉を自在に形成できる技術を開発した。生体の動きに関わる「モーターたんぱく質」の改変により、光の照射形状に応じた人工筋肉ができるようになった。作製した人工筋肉で数ミリメートルサイズの微小機械を動かせる。将来は微細ロボットや柔軟性のあるロボットなどへの応用が期待できる。
生体内の収縮性繊維の形成過程から着想した。研究ではモーターたんぱく質の一種で細胞内物質輸送に働く「キネシン」と、キネシンが動くためのレールの役割となるたんぱく質「微小管」を使った。光の照射で糸状になるようキネシンを改変し、微小管を混ぜることで人工筋肉を形成することができた。微小機械の狙った位置に人工筋肉を作り、駆動させることに成功した。
現在は一度だけの収縮だが、伸縮や振動可能な人工筋肉を開発し、光造形の3Dプリンターで製造する組み込みロボットへの実装などを目指す。
岐阜大学、大阪大学との共同研究。成果は英科学誌「ネイチャー・マテリアルズ」電子版に掲載された。
日刊工業新聞2021年5月5日