社会運動「参加意向あり」10代が最も高い理由
社会運動が様変わりしている。連合の意識調査によると、社会運動に参加する意欲のある人を年代別にみると10代が最も高くなった。クラウドファンディング、ネット署名といったオンライン型で社会運動の幅が広がっていることが背景にある。一方、デモ行進やボイコットなど伝統的な手法には忌避感が根強い。組織行動や抗議行動としての社会運動のあり方に一石を投じる内容になっている。
環境、貧困などさまざまな問題の解決を訴えようと行われる社会運動。「今後参加したい」と答えた人を世代別にみると、10代が69・5%で最も高く、60代(63・5%)、50代(55・8%)と続く。 若年層の参加意欲を押し上げている一つとみられるのがオンラインの活用。会員制交流サイト(SNS)の「#ハッシュタグ」を使った抗議行動やオンライン署名、クラウドファンディングなど多様な手法を使おうとする姿が見えてきた。
社会をよくするために社会運動は「必要」と答えたのは、全世代平均で45・5%だったのに対し、10代は世代別で最多の62・5%。問題解決のため行動に移すことには消極的と言われきた若年層のイメージはそこにない。
ネット署名は「社会や世論を変えるのに有効」、国連の持続可能な開発目標(SDGs)、新型コロナ感染症に関する差別や偏見を防ぐリボンプロジェクトなどに代表される専用ロゴを使う運動は「気軽に参加できる」という答えが多い。
ただ、デモ行進や抗議行動としての不買運動などのボイコットには「主張の押しつけで周りの迷惑」「怖い・過激など印象が悪い」といった声が根強い。
全世代でみると、55・9%が社会運動に参加したいと回答したが、参加経験のある人は27・5%にとどまり、参加意欲と参加経験にギャップがある。
調査は21年3月、全国の15―64歳を対象にインターネットを通じて実施。2000人の回答を得た。結果から連合は今後の社会運動について「テーマ設定や表現方法に工夫が必要」と分析している。