AIによる顔認識技術で異常体温者を通知!IHIの新型コロナ対策が凄い
IHIは社員の新型コロナウイルスへの感染防止に向けて徹底した対策を講じている。執務エリアでは通常の換気とともに、サーキュレーターを設置して空気の循環に配慮。本社受付近くには、人工知能(AI)による顔認識技術を利用して、異常体温者を通知するシステムを用意し、感染リスク軽減につなげる。コロナ禍の収束が見通せない状況で、安全・安心な職場環境が定着してきた。
IHIの感染予防策はきめ細かい。各フロアで手指を消毒できるようにしているのに加え、エレベーターでは利用人数を制限し、社員が相互に1メートル以上の距離を保てるようにしている。執務エリアも空気の循環を意識した対応を進めている。
子会社が手がける同システムの導入も効果的だ。AIの顔認識により、対象者の体表面温度のみを非接触で瞬時に測定する。顔の画像と温度をパソコンへとリアルタイムに表示し、体温が異常な数値を示した場合は自動的に通知する。IHIグループが培ってきた技術を生かす対策だ。
感染予防の徹底は、商談や打ち合わせのあり方を見直すことにもつながった。製造業では一般的に対面での営業活動にこだわることが少なくないが、現在は顧客とのやりとりにデジタル技術を積極的に活用している。
また、室内の換気の状況を見える化するシミュレーションサービスの実証を進めていて、「窓の開け方による換気の効果が一目瞭然」(技術企画部連携ラボグループ)に分かるという。顧客の換気の改善につながりそうだ。
オフィス業務だけでなく、さまざまな場面で感染対策が欠かせない。IHIも安全・安心な職場でコロナ禍を乗り切る。(孝志勇輔)
日刊工業新聞2021年4月7日