来春に持ち株会社化するパナソニック、「信賞必罰のガバナンス」は徹底できるの?

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津賀一宏社長(左)と楠見雄規次期社長(右)

パナソニックが2022年4月、持ち株会社制に移行する。社名は「パナソニックホールディングス(HD)」に変わり、そこから分社化された各事業会社が自立して迅速に意思決定する体制を築く。現在34ある事業部は新たなHDの傘下で「パナソニック」の社名を引き継ぐ事業会社などが入る。各事業会社による競争力を備えた基盤固めが成長へのカギを握る。

1918年(大7)創業で100年以上にわたって歴史を刻んできたパナソニック。節目で経営の転機があった。近年では03年に70年続けた事業部制からドメイン制に変更し、各ドメインに権限を委譲。ただ情報共有などで縦割り組織の弊害が顕在化した。

11年にはパナソニック電工と三洋電機を完全子会社化した。ただ取り込んだ電池や太陽光発電など、特に三洋のノウハウを経営の一体化に生かせたかは評価が分かれる。パナソニックにとって技術面で新たな攻め手となるカードを手に入れた一方、採算悪化などが影響し、12年3月期連結業績で過去最大の当期赤字7721億円の要因にもなったからだ。

分岐点に差し掛かっていた巨大企業を12年から率いてきた津賀一宏社長。13年にプラズマディスプレー事業を、19年に液晶パネル事業から撤退するなど大なたを振るい、構造改革の集大成がHD移行だ。各事業会社には権限委譲とともに責任経営を求める。事業会社の専門性を高め、競争力を底上げする一方、「信賞必罰のガバナンスを徹底する」考えだ。掲げるキーワード「専鋭化」にはこうした狙いが含まれている。

企業経営などに詳しい立命館大学経営管理研究科の橋本正明教授はパナソニックのHD化について「グループ各社の横断的な事業展開を効率的に遂行する体制を維持できるかが今後の課題になる」とみる。移行まで1年を切ったHD化の成否は1日付で最高経営責任者(CEO)に就いた楠見雄規次期社長に託された。スムーズな体制変更と移行後の各事業会社のスタートダッシュが求められる。


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日刊工業新聞2021年4月15日

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