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ホテルと「働く人」をマッチング。稼働率向上へNECが新サービス

ホテルと「働く人」をマッチング。稼働率向上へNECが新サービス

設備や感染対策を充実し安全・利便性を提供

「ニューノーマル(新常態)時代の多様な働き方と、ホテルの稼働率向上をマッチング」―。コロナ禍でのテレワーク拡大に伴い人々の働く場所が多様化する一方で、ホテル業界では宿泊客の減少による客室の稼働率向上が急務となっている。NECはこの二つの課題を解決するマッチングサービスを開発し、4月から提供を始めた。

新サービスの名称は「ホテルワークスペースマッチングサービス」。ユーザー企業はセキュリティーや遮音設備、Wi―Fi(ワイファイ)環境などが充実しているホテル客室を一定期間借り受けて、サテライトオフィスとして活用する。利用者には、ホテルの空室検索や予約が可能な専用のスマートフォンアプリケーション(応用ソフト)を提供する。

対象はNECのホテル基幹業務システム「NEHOPS」を導入済みのホテル。東急ホテルズやプリンスホテルなどが運営する首都圏のホテルの客室を紹介する。

専用アプリの利用料は100ユーザーの場合、月額1万円(消費税抜き)から。今後2年間で100社への販売を目指す。

先行してNECグループ各社や住友商事などの複数企業が活用中。利用者からは「自宅にいると、宅配受け取りや子どもの帰宅などもあるが、長時間集中して作業をしたい場合には良い。とにかく個室が使えるのが良かった」と好評という。「部屋の中にも消毒スプレーや、清掃と消毒済みと書かれた紙もあり安心。机の幅も広く、椅子もしっかりしている。スマホ充電から空気清浄機まで完備していて大満足」などの声もある。

感染症対策が施された客室はサテライトオフィスとして有望だ。テレワークの生産性や満足度の向上が期待される。インバウンド(訪日外国人)需要の消失や国内旅行、出張の自粛などで宿泊客が減少するホテル側も乗り気満々のようだ。

これとは別に、NECグループではNECソリューションイノベータ(東京都江東区)が全国に広域ネットワークを持つJTBとタッグを組み、東京都心と郊外ホテルの遊休スペースを活用したシェアオフィス事業を2020年に始めている。稼働していないホテルの客室や会議室、宴会場など遊休スペースの活用に焦点を当てて、ホテルの新たな収益モデルにつなげる。

消費税抜きの料金はコワーキングスペースが15分単位で200円、1日利用は最低3時間からで3000円から。施設によって料金は異なる。サービスは東京都と周辺都市を手始めに、名古屋、大阪にも拡大。22年3月までに全国展開を目指す。もう一歩進むと、観光地やリゾート地でテレワークを活用し、働きながら休暇をとる「ワーケーション」も視野に入りそうだ。

日刊工業新聞2021年4月15日

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