「加齢臭」の原因物質が肌にダメージ、資生堂が解明
資生堂は、加齢臭の原因物質「ノネナール」が肌ダメージを引き起こすことを発見した。鼻だけでなく肌も同物質を感知し、表皮細胞がダメージを受けていた。肌が薄くなり、皮膚がもつ生理機能を十分に発揮できなくなる可能性がある。またノネナールの香りを目立たなくするマスキング香料で、ダメージを抑制できることも見いだした。
表皮細胞にノネナールを加えたところアポトーシス(細胞死)を引き起こし生存率を低下させることが分かった。次にノネナールとマスキング香料を与える実験を実施し、表皮細胞へのダメージが抑制されることを確認。においを目立たなくする効果のない香料には、抑制効果もみられなかったという。
3次元表皮モデルを用いた実験では、ノネナールを加えると皮膚の厚みが薄くなることも判明した。一方でマスキング効果のある新規複合アロマ香料を作り、ノネナールとともに加えると、薄くならなかった。
元来、皮膚は加齢とともに薄くなることがわかっている。今回の研究で、ノネナールが影響している可能性が示唆された。香りによって肌を健やかで美しく保つという新たなアプローチへの展開が期待される。
日刊工業新聞2021年4月8日