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富士通フロンテックが常駐警備保安員のノウハウをAI化、50社への提供目指す

富士通フロンテックが常駐警備保安員のノウハウをAI化、50社への提供目指す

防犯カメラ映像をエッジAIコンピューター(右)で解析し、店舗利用客の不審な動きを検出。指向性スピーカーで対象人物に自動で声がけを行う

富士通フロンテックは、店舗の万引を抑止するソリューションを発売した。防犯カメラ映像をエッジAIコンピューターで解析し、店舗利用客の不審な動きを検出。従業員のタブレットへ万引の予兆を通知するほか、指向性スピーカーで対象人物に自動で声がけも行う。小売店数店舗で実施した実証実験では、同スピーカーを設置した高額商品エリアで万引被害額が平均で前年比70%減少した。2024年度に50社への提供を目指す。

防犯カメラ映像などのデータを末端の機器で処理する「エッジAIコンピューター」を活用し、常駐警備保安員(万引Gメン)のノウハウを人工知能(AI)化した。エッジAIは、データをクラウドに転送する必要がなく、より短時間で解析できるのが特徴。リアルタイムで防犯カメラ映像上の不審な動きを検知できる。

国内における万引の年間被害額は4000億円超とされる。一方、小売業では人手不足が深刻化する中、被害届の提出など万引の後処理対応が手間になっていた。小売業者に対象人物の正確な見極めや適切なタイミングでの注意喚起を促すことで、万引を抑止する。特に店舗の高額商品エリアで活用してもらい、被害の減少につなげる。

同ソリューションを導入すれば、店舗従業員が常時監視する必要もなくなるため、従業員の業務効率化や働き方改革の効果も期待できる。

エッジAIコンピューターのほか、防犯カメラやスピーカーなどの周辺機器、ソフトウエアを組み合わせ、月額制で提供する。価格は個別見積もり。

スーパーマーケットやドラッグストアなどの小売業向けに販売する。

富士通フロンテックがエッジAIコンピューターを活用したソリューションを開発したのは初めて。同社はこのほど、米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)を搭載したエッジAIコンピューターを開発している企業と独占契約した。今後ソリューションのラインアップを拡充していく。例えば製造向けに工場の安全を管理する用途などを検討している。

日刊工業新聞2021年3月25日

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