ヤンマーHDが舶用水素燃料電池システムを実証、25年までに定期旅客船への適用目指す
ヤンマーホールディングス(HD)は24日、グループ会社のヤンマーパワーテクノロジー(大阪市北区)と大分県国東市近海で舶用水素燃料電池システムの実証試験を開始したと発表した。水素燃料を利用した技術開発の一環。トヨタ自動車の新型燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」用の燃料電池ユニットなどを組み合わせた船舶用燃料電池システムをヤンマー製ボートに搭載し、効果を確かめる。
国土交通省の「水素燃料電池船の安全ガイドライン」に基づき、舶用特有の条件への対応を調べる。船の航行は自動車と異なり、傾斜や揺れ、衝撃、塩害、連続した高負荷などにさらされる。実際の航行状況下で同システムに与える影響、課題などを抽出する。
実証試験艇は総トン数7・9トン。推進出力は250キロワット。燃料電池システムは固体高分子型燃料電池モジュールを2基搭載する。試験は今夏ごろまでをめどに実施予定。その後は場所の変更を想定するが未確定という。
現時点でヤンマーHDが同システム搭載の艇を商品化する予定はない。今後は2025年までに定期旅客船などの大型・中小型船舶への適用を目指す。
日刊工業新聞2021年3月25日