足踏み式消毒スタンドが好調!追求された「トヨタらしさ」

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足踏み式消毒スタンド「しょうどく大使」は、子供でも使いやすい高さに調整可能
トヨタの足踏み式消毒スタンド「しょうどく大使」を、販売店でアピールする

トヨタ自動車が、新型コロナウイルス感染対策として外販した足踏み式消毒スタンド「しょうどく大使」が好調だ。2020年12月の発売以来、2カ月ほどで累計販売台数は約1万4000台を達成。生産工程の改善も繰り返し、生産能力は当初の8倍に引き上げた。使い勝手の良さや一般的な製品の半額程度という価格に加え、「トヨタらしい感染症防止策を広めたい」とする販売店の工夫が、販売を押し上げている。(名古屋・政年佐貴恵)

「顧客のニーズをくみ取り、競争力の高い製品を投入できたのが『トヨタらしさ』の一つではないか」。しょうどく大使の製作担当者は、こう自負する。同製品は元々、新型コロナ対策として生産現場が自作し使っていた消毒スタンドを市販化したものだ。トヨタの車両販売店やレンタリース店が販売を手がけ、これまでに企業や自治体、病院などに導入されている。

販売拡大と同時に、生産現場ではトヨタのお家芸である「カイゼン」が続く。導入先の意見や使われ方を元に、本体やペダルの補強材の耐久性を高めたり、メッセージ表示板を追加したりと仕様を変更。車体塗装の技能者や材料を活用してサクラ色などを追加し、5色展開にした。

生産面ではトヨタ生産方式(TPS)といった車生産のノウハウを活用し、ネジを締める時間や組み立て時間を見直し。当初は1時間以上かかっていた1台当たりの生産時間を、約40秒に短縮した。キムラユニティーや小島プレス工業(愛知県豊田市)などの仕入れ先とも協力し、当初は2ラインだった生産ラインは4ラインに増設。1人当たりの生産性を高めることで省人化しながらも月産台数は2000―2500台から1万6000台に高めた。

拡販に向けた策を講じる販売店も出てきた。ネッツトヨタ山形(山形市)では、取引先へのダイレクトメールの送付のほか、販売に結びつけたスタッフを紹介し、拡販に向けたモチベーションを醸成。サービスエンジニアが車検の引き取りで訪れた顧客に提案する事例も出てきた。新たな販売ツールとしての活用法も見え始めた。トヨタカローラ名古屋豊川店(愛知県豊川市)では、既存顧客へのダイレクトメールのほか、法人顧客開拓に活用。「職種を選ばずさまざまな会社を訪問するきっかけとなる」といった声が挙がり、これまで取引のなかった顧客への販売にもつながった。

1万台という一つの目安は達成したが、担当者は「まだ満足する台数ではない」と言い切る。公共交通機関や学校、飲食業界など「アピールしきれていない所にも提案すれば、潜在ニーズはまだある」と見る。好事例を横展開するなど、感染症対策への貢献と新たな商機に向けて活動を広げる構えだ。

日刊工業新聞2021年3月24日2021

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