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ネットショッピングでフードロス解消! 東邦ガスが拡大するデジタル活用サービス

ネットショッピングでフードロス解消! 東邦ガスが拡大するデジタル活用サービス

定額で加盟店1店につき1日1杯飲み物が飲めるサービス「フラノミスタ」

東邦ガスはデジタル技術を活用したサービスを拡大している。ライフサービスプラットフォーム「ASMITAS(アスミタス)」のサービスで、賞味期限が近づいた商品などを値引きして提供する社会貢献型ショッピングサービスでは地元の商品を拡大。定額制ドリンクサービスでは加盟店を名古屋市のほか東海地区で増やす。ガスや電気の営業や保安業務で顧客との接点に加え、インターネットなどを通じたデジタル接点を増やし、顧客増につなげる狙いだ。

【寄付金含む】

社会貢献型ショッピングサービス「juni juni sponsored by TOHO GAS(ジュニトホ)」は賞味期限が近づいたり、パッケージを刷新してデザインが古くなったりした商品で、品質に問題はないが廃棄される食品や日用品を購入できる。「食品ロスの低減に貢献できるサービスとして意義が高い」(西淵泰斗事業開発部事業開発第二グループ主任)と胸を張る。

価格には社会課題の解決に取り組む各種団体などへの寄付金が含まれる。ユーザーは商品購入と社会課題の解決に貢献できる。

【地産地消促進】

2020年のサービス開始以降、共同運営するSynaBiz(東京都品川区)が調達した商品を扱っていたが、1月に東邦ガスの業務用都市ガスユーザー企業の在庫商品も提供を始めた。在庫商品を市場に再供給する仕組みは東海地区の食品・日用品メーカーとの関係強化にもつながる。「地域に根差した企業として東海地区で作られる商品の買い取りを増やし、食品ロスおよび廃棄在庫の削減に取り組む。地産地消の促進や地域経済振興への貢献も加速させる」(西淵主任)とする。

ネットショッピングが食品ロス低減につながる点を訴求し、どのくらい貢献できたかを示すようにサイトを改良する。ユーザー数を22年度末に現在の2・5倍となる5000人に増やす。

定額ドリンクサービス「フラノミスタ」は月額500円(消費税抜き)で毎日1杯飲める。加盟店は初期費用や毎月の費用負担がない。ユーザーは加盟店1店舗につき毎日1杯、はしごすれば何杯も飲める。

定額で加盟店1店につき1日1杯飲み物が飲めるサービス「フラノミスタ」
【飲食店を支援】

新型コロナウイルスの影響で苦戦する飲食店の支援を狙いに始めた。厨房(ちゅうぼう)機器メーカーや酒卸会社、酒造会社などが加盟店の開拓に協力している。飲食店からは最小限の負担で集客できることへの感謝や、集客ツールとしての有効性を実感する声が挙がっている。

ただ、コロナ禍で広告の費用対効果が低いため、ウェブページやスマートフォンなどのアプリケーション(応用ソフト)の機能改善を図る。新型コロナの影響が落ち着いてから販促活動に注力する。

現在の加盟店数は名古屋市を中心に約400店。今後は東海地区で加盟店を開拓する。東海地区以外の事業者とも連携し、全国の飲食店を支援する方針。「ユーザーが旅行先や出張先で利用できるよう利便性を高める」(臼井健二事業開発部事業開発第二グループ係長)としている。(名古屋・市川哲寛)

日刊工業新聞2021年3月19日

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