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燃料電池車の車両・タンク検査時期統一へ、利用者の利便性向上なるか

燃料電池車の車両・タンク検査時期統一へ、利用者の利便性向上なるか

トヨタ自動車の燃料電池車「ミライ」(公式サイトより)

経済産業省は燃料電池車(FCV)の検査体制の合理化に向けた議論に着手する。車両と水素タンクで異なる検査タイミングの一本化に向け、有識者や業界団体などの意見や関係省庁との連携を図りながら法改正も含めた検討を図る。自動車の電動化推進への動きが加速する中で課題となっているユーザーの利便性向上を図るとともに、タンクの検査状況が不備となる車両の発生を防ぐ。

FCVは現状、道路運送車両法に基づく車検と高圧ガス保安法による容器再検査の実施が求められている。初回の検査は、車検が登録日から3年後、水素タンクが製造日から4年1カ月後と定められ実施間隔が異なる。さらに製造日が基準となる水素タンクは、売却などによって車両登録が中断されている期間も次の検査までの期限がカウントされるためタイミングにズレが生じる。車検時に容器の再検査を実施しなかった場合には期限切れとなる可能性がある。

業界団体からユーザーの利便性向上の観点から検査体制の合理化への要望が挙がっていたことも踏まえ、経産省が設置している検討会で議論に入る。政府が自動車の電動化推進を図る中、検査タイミングを合わせることを念頭に法律や省令などの改正も視野に入れて検討する。

車検のみが求められているガソリン車や電気自動車(EV)に対し、水素燃料を搭載するFCVは安全性確保の観点から、タンクが高圧ガス保安法の対象に含まれる。一方で検査タイミングのズレによって容器の再検査を受けていないユーザーが水素ステーションで充填を断られる事例も生じている。

経産省はこれまでも規制改革実施計画に基づき、水素ステーションやFCV関連の規制見直しの動きを進めてきた。検査体制についても「燃料電池自動車に関する事務手続の合理化」の対象として項目に含まれている。

道路運送車両法は国土交通省など他省庁も関わるため連携を図りながら可能性を模索する。

日刊工業新聞2020年3月17日

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