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バンダイナムコが3Dアバターの米ベンチャーと資本提携、キャラのデジタルグッズを深掘り

バンダイナムコが3Dアバターの米ベンチャーと資本提携、キャラのデジタルグッズを深掘り

BNEと提携する米ジーニーズのアプリケーション(応用ソフト)。アバターにグッチの服などを着せ替えられる(BNE提供)

バンダイナムコエンターテインメント(BNE、東京都港区、宮河恭夫社長)は、2020年11月に3Dアバター(分身)のソフトウエアを開発する米国のスタートアップ企業ジーニーズと資本業務提携を結んだ。今後はアバターを活用した広告代理店業や、キャラクターの知的財産(IP)を使ったデジタルグッズの展開を図る。ジーニーズ日本法人の取締役も兼任する宮河社長に狙いを聞いた。

(編集委員・丸山美和) ―なぜ3Dアバターを開発する企業に着目したのですか。

「海外ではサッカー選手のメスト・エジルら著名なスポーツ選手や、セレブリティのアバターを買うオークションが人気だ。今後1―2年で、『メタバース』と呼ばれるインターネット上の3次元仮想空間で、自身のアバターを使ってショッピングやライブ配信などを多くの人たちが楽しむようになると予想する。ジーニーズは日本法人を設立して、アジアで事業を拡大しようとしていたことから提携した」

―米ジーニーズはどのようなことを始めているのですか。

「3Dアバターソフトウエア開発キット(SDK)を発表し、『グッチ』などが初めてパートナーとなった。アバターに着せ替えるデジタルグッズも販売する。あらゆるプラットフォームにSDKを導入して、世界で最も使われるアバターを目指している」

―アバターを使った広告もあるのですか。

「著名人をアバター化して企業が宣伝に使う例も出ている。ジーニーズの日本法人は著名人に声をかけてアバターを増やそうとしている。反応は上々だ」

―BNEのビジネスにどう生かしますか。

「BNEはパックマンなどのキャラクターIPを多数持つ。これらを活用したアバターによってファン同士が交流することは可能。アパレルや靴のメーカーと組めば、アバターの着せ替え用デジタルグッズも展開できる。コンサートや映画鑑賞だけでなく、企業の展示会などアバターを使って楽しみながら集えるようにもできる。今秋に企業広告とタイアップした事業も計画中で、アバターのフィギュア化も始める予定。デジタルとフィジカルを融合させた新アバター事業を強化する」

バンダイナムコエンターテインメント社長・宮河恭夫氏

チェックポイント/新しい交流手段に可能性

ジーニーズ日本法人は共通性がありながら本人と分かるデフォルメのアバターを作れるようにし、いかに仮想空間で楽しめるかを追求していく計画だ。アバターは本人であって、本人そのものの顔や姿ではない。本人ではないから楽しめる要素がある。今、クラブハウスなどいろいろなコミュニケーションツールが登場しているが、アバター同士が仮想空間上で交流する、新しいコミュニケーションツールとして一気に広がる可能性を秘めている。

日刊工業新聞2021年3月9日

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