工場閉鎖に客数減…苦境の「うどん県」は粘り腰を発揮できるか
「うどん県」を掲げるだけに、47都道府県で面積が最小の香川県内にひしめくのが讃岐うどん店だ。店舗での提供スタイルは独特そのもの。ネギなど薬味を自ら添えるのは一般的だが、セルフ店では自分でうどん玉の湯切りが必要な場合もある。
麺販売が本業の「製麺所」の片隅で、できたてのうどんを味わえることも。店ごとに注文ルールがあることも多く、迷いがちだがこれも讃岐うどんの楽しみのひとつと言えよう。
自宅で手軽に、という場合は冷凍うどんが重宝する。その冷凍讃岐うどんを手がけるJT子会社のテーブルマーク(東京都中央区)が香川県内3工場を10月末で閉鎖すると今月決めた。生産体制再編の一環で、同社が冷凍うどんの生産をやめるわけではない。
それでも浜田恵造香川県知事は「地域の経済や雇用への影響を少しでも小さくしていただけるようお願いしたい」とコメントを出した。旧加ト吉が源流の冷凍食品は同県を代表する産業だからだ。
今や讃岐うどんの知名度、人気は全国区。ただ新型コロナウイルス感染症の影響で、香川県内のうどん店も来店者減は避けられない。店も讃岐うどんのコシ同様の粘り腰を発揮し、苦境を乗り越えてほしい。
日刊工業新聞2021年2月24日