世界シェア8割の中国産マグネシウム、相場上昇一服のなぜ?
世界シェア約8割を占める中国産マグネシウムの相場上昇が一服している。旺盛な中国需要や欧州向け輸出が底入れして昨秋以降は騰勢を強めたが、大口商談が落ち着き在庫が積み上がって調整が入った。中国が大型連休となる春節(旧正月)を控え、取引が低調となったことも上値の抑制要因となっている。
中国産マグネシウム相場は足元でトン当たり2235ドル近辺と2020年10月の安値比で約2割高いが、年初比では約7%安い。中国では、昨年末にかけて活発化した欧州向けの輸出交渉などが一巡。「今年に入り商談が少なくなり、在庫積み上がりによる値下げが旧正月前に訪れた」(非鉄金属商社タックトレーディングの上島隆社長)とみられている。
春以降は、コロナ禍で外需が伸び悩めば上値の重い展開が想定される一方、脱炭素化を掲げる中国が石炭規制を強化すれば、精錬の熱源確保に支障が生じて相場が上昇し得る。中国では近年環境対策で工場操業が制限されるケースが増え、「石炭産業への規制が現実化すれば、4―6月のマグネシウム相場は2500―2600ドルに上昇する」(同)との見方もある。
マグネシウムは、アルミニウムの強度を高める添加剤のほか、軽量な特性を生かして自動車や電子機器の部品などに使われる。日本は需要の9割以上を中国産に依存している。