新たなICT監視システムは乳幼児にも役立つ!?
サンシン電気(東京都練馬区、石井宏宗社長、03・5987・5511)は、乳幼児の突然死を防ぐための情報通信技術(ICT)監視システム「午睡チェックシステム(仮称)」の開発を進める。監視カメラとサーマルカメラ、人工知能(AI)を連携させ、基準値を超えた幼児を検出する。2021年内に開発を完了し、全国の保育施設などに展開する方針だ。
乳幼児が午睡(昼寝)時などに突然死する「乳幼児突然死症候群」は、国内で年間70件ほど報告されている。特に0歳児に多く、原因は不明。保育施設では5―10分ごとに呼吸や顔色の確認が推奨されている。しかし保育現場では業務負担の増加などで乳幼児の常時監視が思うようにいかない課題がある
。開発中のシステムは画角内の乳幼児が5分以上動かないと「無呼吸状態」と判定する仕組み。基準値は保育施設で個別に設定・変更できる。動きを監視する市販のカメラと体表温を計測するサーマルカメラを組み合わせ、乳児の発熱など個別の状態も監視する。録画できるため、事故発生時の証拠にもなる。
石井社長と山陽マーク製作所(埼玉県ふじみ野市)の末信寛之社長が「カメラで社会貢献できないか」と、19年に意気投合して考え始めたのが開発のきっかけ。そこでシステム開発を手がけるサンシン電気が強みを生かし、非接触式システムの開発を進めている。
当初はうつぶせを検知・警報するシステムを試作したが、保育士がカメラの前を通り過ぎただけで警報が鳴り響いていた。開発担当の川口あすみ最高情報責任者(CIO)は「やってみなければ分からなかったことばかりだった」と振り返る。
今後は導入しやすい価格にするため、必要最低限の機能に絞る方針。埼玉県入間市の保育園で実証実験を進めており、「昼寝中の確認で若手とベテラン(保育士で)でバラつきがある。この差をなくしたい」(川口CIO)と意気込んでいる。(渋谷拓海)