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港湾クレーンの脱炭素化へ、三井E&Sが「燃料電池」の実用化目指す

港湾クレーンの脱炭素化へ、三井E&Sが「燃料電池」の実用化目指す

大分工場のコンテナ用ヤードクレーン。燃料電池を搭載して技術を検証する

三井E&Sマシナリー(東京都中央区、高橋岳之社長、03・3544・3950)は、ディーゼルエンジンに代えて燃料電池を搭載した新型クレーンを2028年ごろをめどに実用化する。港湾で運用するクレーン設備の脱炭素化に乗り出す。海外では米ロサンゼルス港が30年に港湾機材などからの温室効果ガス排出をゼロにすることを目指しており、同様の動きが広がる可能性もある。環境負荷の低減技術で欧州や中国勢に対抗する。

燃料電池を採用したコンテナ用ヤードクレーンの商用化を目指す。環境配慮の観点から、これまで同社ではディーゼルエンジンとリチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッド型を展開してきたが、燃料電池により脱炭素化につなげる。22年までに大分工場(大分市)に設置している遠隔・自動運転開発用の同クレーンに燃料電池を導入し、技術検証などを進める。

日本国内の港湾でも環境対策が加速する見込みだ。国土交通省は港湾での温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を打ち出した。横浜港や神戸港など6地域の港を対象に検討している。

三井E&Sマシナリーは燃料電池に使う水素のインフラ網に必要な機器の供給も視野に入れている。水素の大型圧縮機をグループ会社と開発することを検討する。すでに同社では水素ステーション向けの圧縮機を展開しているが、自動車だけでなく大型機械などにも水素の活用が広がり、圧縮機の需要が高まるとみている。

日刊工業新聞2021年2月1日

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