脱炭素へ、大阪ガスの「次世代メタネーション技術」に注目せよ
大阪ガスは、2050年に温暖化ガス排出実質ゼロを目指す新ビジョンをまとめた。都市ガス原料の脱炭素化に結びつく「固体酸化物形電解セル(SOEC)」を使う次世代メタネーション技術などを30年までに確立。また、従来は30年に100万キロワットとしていた太陽光や洋上風力など再生可能エネルギー電源の取得目標も、同500万キロワットに引き上げる。脱炭素化技術を実用化する研究拠点も年内に設ける計画だ。
大阪ガスは新ビジョン「カーボンニュートラルビジョン」を25日に発表。脱炭素化技術を確立するほか、二酸化炭素(CO2)排出削減に取り組む企業や大学などに呼びかけ、脱炭素化技術のオープンイノベーション拠点を年内にも同社研究所内(大阪市此花区)で立ち上げる。
注力するメタネーション技術は、再生エネ由来電力とSOEC共電解装置によって水とCO2から水素と一酸化炭素を作り、メタン化反応させ都市ガス原料にするものだ。国の研究事業に採択、19年度から産業技術総合研究所と共同研究を進めている。排熱の有効利用などで既存のメタネーション技術より変換効率を約30ポイント高い90%まで向上可能という。
またケミカルループと呼ぶ有機物から水素やCO2などを選択的に安く取り出せる技術の確立も目指す。
脱炭素化技術で作る都市ガス(メタン)の普及には、再生エネ電力の低コスト化がカギとなる。このため30年の再生エネ電源の導入目標を従来比5倍の500万キロワットに拡充。洋上風力発電などの自前開発と、再生エネ事業者からの調達を加速する。
顧客の脱炭素化支援も強化し、再生エネ由来電力の供給や省エネ機器提案などでCO2削減貢献量として年1000万トンを目指す。同社の藤原正隆社長は「脱炭素化の取り組みは、産学官連携や国の2兆円基金の活用も図りつつ、相当な資源を投入する」としている。